カラオケで上手に歌えたとき、その歌声を記念に残しておきたいと考える人は多いでしょう。特に最近では、スマートフォン一つで簡単に録音・録画ができるため、手軽に試したいと思うかもしれません。しかし、「カラオケの録音は違法なの?」「SNSにアップロードしたらどうなる?」といった疑問を持つ人もいるでしょう。この記事では、カラオケの録音・録画に関する法的リスクや、安全に楽しむための方法を解説します。

カラオケの録音は違法?法的リスクを徹底解説
カラオケの録音や録画が法的に問題ないかどうかは、その目的によって大きく異なります。結論として、個人的な利用に留めるのであれば、基本的には問題ありません。しかし、インターネット上で公開するなど、私的利用の範囲を超える行為は著作権侵害となるリスクがあります。
結論:個人的な利用なら基本的には問題ない?
カラオケで自分の歌を録音し、個人的な利用目的(例えば、歌唱力向上のための練習や聴き返しなど)に限定する場合は、著作権法で認められています。これは、あくまで自分自身や家族、友人といったごく限られた範囲内で楽しむことを前提としています。この範囲であれば、法的な問題は発生しないとされています。
また、カラオケで歌が上手いと思った人の歌声をこっそり録音する行為について、個人で楽しむ分には問題はないと思うかもしれません。しかし、たとえ個人的な利用であっても、相手に無断で録音する行為は違法性を問われる可能性があります。特に、相手のプライバシー権や肖像権(動画の場合)を侵害するリスクがあるため、倫理的な観点からも避けるべき行為です。
著作権侵害になるケースとは?SNS投稿や公開の危険性
録音したデータをYouTubeやSNS(X、TikTok、Instagramなど)にアップロードしたり、販売したりする行為は、著作権侵害にあたる可能性が非常に高いです。カラオケ音源には、著作権とは別に著作隣接権という権利があり、カラオケ機器メーカーに帰属します。そのため、メーカーの許諾なくインターネット上に公開することは、この著作隣接権を侵害する違法行為とみなされます。
特に、カラオケ音源を無断で公開した場合、最悪のケースではメーカーから訴えられるリスクもあります。過去の裁判例では、カラオケ動画をYouTubeにアップロードした個人に対し、カラオケ会社が動画の公開差し止めを求めた事案があり、裁判所はカラオケ会社の請求を認める判決を下しました。
なぜカラオケ店での録音・録画が禁止されているのか?
多くのカラオケ店では、店内で許可なく録音・録画することを禁止しています。これは、カラオケ音源がカラオケ機器メーカーの著作物であり、メーカーが正式な権利処理を行った上で提供しているコンテンツであるためです。許可されていない機器での録音・録画は、メーカーの権利侵害につながる行為と見なされます。このため、カラオケ店は店内でそのような行為が行われないよう注意喚起をしています。

カラオケ録音と著作権法、私的利用の範囲について
著作権法では、私的利用の範囲であれば、著作物の複製が認められています。しかし、カラオケ音源には著作隣接権という別の権利が絡んでおり、これを無断でインターネット上に公開することは禁止されています。したがって、カラオケで録音した歌声は、あくまで個人的に聴いて楽しむだけに留める必要があります。もし公開したい場合は、カラオケ会社が提供する公式サービスを利用するなど、正式な方法を選ぶことが重要です。
カラオケの「歌ってみた」は著作権違反?YouTubeやSNS投稿のルール
カラオケ音源を使った「歌ってみた」動画の投稿は、著作権違反になる可能性が高いです。しかし、プラットフォームや音源の利用方法によっては、合法的に公開できる方法もあります。
YouTubeへの投稿は違法?収益化できる?
YouTubeやニコニコ動画、TikTok、Instagramなどの大手動画サイトは、JASRACやNexToneといった著作権管理団体と包括的な利用許諾契約を締結しています。そのため、これらの管理団体が著作権を管理している楽曲であれば、特定の条件を満たすことで「歌ってみた」動画の投稿が可能です。
しかし、この場合もカラオケ会社の音源をそのまま使うことはできません。動画の投稿には、歌唱部分も演奏部分もすべて自分で用意することが求められます。オリジナル音源やカラオケ店の音源を使うと、レコード会社やカラオケ会社の権利を侵害する可能性があります。
SNS(X, TikTok, Instagramなど)に投稿する際の注意点
多くのSNSがJASRACやNexToneと契約していますが、2024年2月15日時点では、X(旧Twitter)は利用許諾契約を結んでいません。そのため、Xに直接「歌ってみた」動画を投稿する行為は、著作権法違反になるリスクがあります。
一方、TikTokやInstagramでは、利用許諾契約が結ばれているため、ルールに従った投稿であれば問題ありません。ただし、YouTubeの動画を埋め込む場合でも、著作権法違反となる可能性は残るため、注意が必要です。
JOYSOUNDやDAMが提供する「歌ってみた」公式サービスのメリット
カラオケ音源を使って「歌ってみた」動画を公開したい場合は、カラオケ会社が提供する公式サービスを利用するのが最も安全で確実な方法です。
- DAM:DAM★とも
- JOYSOUND:うたスキ動画
これらのサービスは、カラオケ会社のプラットフォーム内で動画を公開することを前提としており、正規の音源を使用できるため、著作権や著作隣接権の問題を心配する必要がありません。手軽に動画をアップロードしたい場合は、これらの公式サービスを利用するのがおすすめです。

スマホでカラオケをきれいに録音・録画する方法
カラオケの歌声をスマホで録音する際、ただ録るだけでなく、より良い音質で残したいと考える人も多いでしょう。ここでは、スマホを使ってきれいに録音・録画するための方法を紹介します。
スマホの標準機能で録音・録画するやり方と注意点
スマホに元から備わっている録音機能(iPhoneの「ボイスメモ」など)やカメラ機能を使えば、手軽に録音・録画ができます。しかし、カラオケ店はBGMが大きいため、スマホの内蔵マイクでは音割れしたり、声が小さく聞こえたりすることがあります。
録音する際は、スマホをマイクやスピーカーから少し離れた場所に置き、音量バランスを調整するなど、工夫が必要です。
高音質で録音するおすすめの外部マイクと機材
より高音質で録音したい場合は、スマホに接続できる外部マイクや機材を導入するのがおすすめです。これらの外部マイクを使うことで、カラオケのBGMと自分の歌声をバランス良くクリアに録音できます。
【iPhone・Android対応】カラオケ録音に便利なアプリ
スマホの標準機能だけでなく、録音に特化したアプリを使うのも一つの手です。これらのアプリは、録音した音声の編集機能や、音質の調整機能などが備わっている場合があり、より本格的な録音をしたい場合に役立ちます。
声だけをきれいに録音するコツと録音場所の選び方
カラオケのBGMではなく、自分の歌声だけをクリアに録音したい場合、マイクの音量を調整したり、スマホをマイクの近くに置いたりする工夫が必要です。また、カラオケの部屋は音響が良いので、録音場所を特別に選ぶ必要はあまりありません。しかし、録音機材を机の上に置くなど、安定した場所に設置することで、より良い音質で録音できます。

カラオケ店でスマホ録音・録画をする際の注意点とマナー
カラオケ店で録音・録画を行う際は、法的リスクだけでなく、お店のルールや他の利用客への配慮も重要です。
【重要】カラオケ店が定める録音・録画のルールを確認しよう
多くのカラオケ店は、店内での録音・録画行為を禁止しています。これは、カラオケ機器に収録されている音源や映像が著作物であり、無断での録画・録音は権利侵害にあたる可能性があるためです。お店を利用する際は、必ず店舗の利用規約や注意書きを確認し、ルールを守ることが大切です。
周りの人に迷惑をかけないためのマナー
録音・録画をする際は、他の部屋にいる利用客に迷惑をかけないよう、部屋のドアを閉めるなどの配慮が必要です。また、一緒にいる友人や知人にも、撮影の許可を得てから行うようにしましょう。
録音・録画がバレるとどうなる?
もしカラオケ店員に録音・録画をしているところを見つかった場合、注意を受ける可能性があります。お店のルール違反となるため、速やかに録音を中止し、指示に従う必要があります。
カラオケの画面や歌詞を撮影するのは違法?
カラオケの画面に表示される映像や歌詞も、れっきとした著作物です。これらを無断で撮影する行為も、著作権法上の問題を引き起こす可能性があります。
カラオケの映像や歌詞も著作物です
カラオケの画面に流れる映像や歌詞は、カラオケ会社が権利処理をした上で使用しているコンテンツです。そのため、これらを無断で撮影・複製する行為は、著作権侵害にあたる可能性があります。
SNSに投稿すると違法になる可能性は?
カラオケの映像や歌詞を撮影した写真をSNSに投稿する行為は、著作権侵害となる可能性があります。特に、多くの人がアクセスできるインターネット上で公開する行為は、私的利用の範囲を超えるため、注意が必要です。

カラオケの録音・録画に関するQ&A
カラオケの録音・録画に関して、よくある疑問をまとめて解説します。
録音したデータを友人に送るのは違法?
録音したデータを友人に送る行為は、私的利用の範囲であれば違法ではありません。しかし、それを友人がさらにインターネット上に公開してしまうと、著作権侵害となります。そのため、データの共有は慎重に行う必要があります。
カラオケ店員に録音していることを聞かれたら?
カラオケ店員に録音していることを聞かれた場合、まずは正直に状況を説明し、指示に従いましょう。多くのカラオケ店は録音・録画を禁止しているため、注意を受ける可能性が高いです。
自分の歌声だけを録音したいのですが、どうすればいいですか?
カラオケのBGMを入れずに自分の歌声だけを録音したい場合、カラオケ店が提供する公式サービスを利用するのが一つの方法です。また、スマホに外部マイクを接続して、BGMが小さくなるように工夫しながら録音する方法もあります。
カラオケで歌をスマホで録音する行為は違法?に関するまとめ
- カラオケの録音は個人的な利用なら違法ではない。
- ・録音したものをSNSに公開すると著作権侵害となる。
- ・カラオケ音源には著作隣接権があり無断公開は禁止だ。
- ・カラオケ店での録音・録画は規約により禁止されている。
- ・「歌ってみた」動画はカラオケ会社の公式サービスを使うのが安全だ。
- ・YouTubeで「歌ってみた」を投稿する際は音源を自分で用意する必要がある。
- ・X(旧Twitter)は著作権管理団体と契約していないため注意が必要だ。
- ・スマホの標準機能では音割れに注意し、外部マイクも活用できる。
- ・カラオケの画面や歌詞の撮影も著作権侵害になる可能性がある。
- ・無断で他人の歌声を録音する行為はプライバシー権侵害になる可能性がある。
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